実店舗のような丁寧なお客さま対応と業務負荷の大幅改善を両立!東急百貨店の EC サイトの取り組みとは

東急グループのリテール事業の中核として、東急線沿線を中心に百貨店やショッピングセンター、専門店を展開する株式会社東急百貨店。店舗運営だけでなく、デジタル事業やアウトセールス事業など幅広い事業強化を図る同社では、自社の EC サイトとして「東急百貨店ネットショッピング」を運営している。

EC サイトの操作に関する問い合わせに対応している同社の受注センターでは、EC サイトの操作方法をご案内する際、お困りの操作画面を特定することに課題を感じており、一度は他社製の画面共有サービスを導入されたという。その後、スマートフォンを利用しているお客さまも操作サポートが可能であること、画面共有時にアプリのダウンロードが不要であることが決め手となり、Withdesk Browse を導入いただいた。Withdesk Browse を導入した背景にあった課題や導入までのプロセス、そして導入後の効果について、事業推進室 EC 推進部で部長を務める K. I. 氏にお話を伺った。

サイト上の操作に関する問い合わせや注文処理を一手に担う受注センター

EC 市場の黎明期である2000年代でも特に早い段階で EC サイトを立ち上げた東急百貨店では、2009年に大幅リニューアルした「東急百貨店ネットショッピング」を運営している。EC サイトでの売上げは、お中元やお歳暮をはじめとするギフト需要が大半を占めていること、お客さま全体に対してご年配のお客さまの利用率が高いことが特徴だ。

同社の事業推進室 EC 推進部で部長を務める K. I. 氏に、EC サイト事業についてお話を伺った。

「当社のEC サイトでは、ご年配のお客さまのご利用率が高いのが特徴です。デジタルツールに不慣れな方もいらっしゃるので、お問い合わせもお電話でいただくケースが多くあります。

お客さまからの電話を受け付け、お困りごとの解決に取り組んでいるのが北海道札幌市に拠点を置く受注センターです。EC サイト上の操作に関する問い合わせや注文処理を一手に担っており、社員は15名ほど在籍しています。また、お中元やお歳暮といった繁忙期は臨時でアルバイトの方を採用し、数十名規模の体制になることもあります」(K. I. 氏)

会員登録とギフト購入画面の複雑さが課題。機会損失や満足度の低下が起きていた

同社が画面共有サービスに関心を抱いたのは、新型コロナウイルス感染拡大が始まった2020年のこと。きっかけは外出自粛によって店舗への客足が途絶えた一方、EC サイトの需要が高まり、それと比例して受注センターへの問い合わせ数が増加していった。EC サイトの操作に関する問い合わせの多くが、ネットでのご購入にあまり馴染みのないご年配の方からだったと、当時の状況について K. I. 氏が振り返る。

「PC 操作に不慣れなお客さまに EC サイトの操作方法をご案内する際、お客さまの操作画面が見えない状態でご案内することになるため、受注センターのオペレーターから『説明が難しい』との声がありました。特に、会員登録の手続き画面と、購入画面の説明に苦慮していました。

購入画面では特にギフト対応の手続きが複雑で、購入いただく商品を決めたあとに『掛け紙』や『名入れ』の要否、梱包の仕様、配送先の住所をアドレス帳から選ぶなど、さまざまな入力・選択項目があります。こうした項目の操作について問い合わせのお電話は解決まで長引いてしまうことが多く、ケースによっては1時間を超えることもありました。オペレーターの人数は限られているため、1件あたりの時間が長引くことは対応件数が減少し、お客さまをお待たせしてしまうことにも繋がりかねません。そして、機会損失や満足度の低下といった事業全体にとっても影響を及ぼします。

こうした課題を解決するため、お客さまの操作画面を見ながらご案内できる画面共有サービスの導入を検討することになったのです」(K. I. 氏)

他社の画面共有サービスから乗り換え。ポイントはスマートフォン対応とアプリのインストールが不要な点

お客さまへのご案内に課題が浮上してきた2020年当初、Withdesk Browse とは別の画面共有サービスを導入し、「実際にお客さまへご案内してみるとさまざまな課題が浮き彫りになりました」と K. I. 氏は話す。

「以前導入していた画面共有サービスで一番問題だったのは、スマートフォンに対応していなかったことです。コロナ禍をきっかけに EC サイトをご利用いただくお客さまの数が増えていくにつれ、多くのお客さまがスマートフォンから EC サイトをご利用されていることに気が付き『このままではお客さまにウェブ操作のご案内ができない』と感じました。

もうひとつの困りごとが、お客さまの PC にアプリをインストールしていただかなければ、画面共有ができなかったことです。アプリをインストールして画面共有可能な状態にするには時間も手間もかかり、お客さまへの対応を効率化するという今回の目的に対して本末転倒になります。

そのため、スマートフォンの画面操作をサポートすることができ、かつ画面共有時にアプリのインストールが不要なサービスを再度検討することになったのです」(K. I. 氏)

サービスの乗り換えにあたっては、情報システムの部門とともにサービス選定が行われた。前述の2つの条件に加え、お客さまに安心して画面を共有いただくためにカード番号などの個人情報をオペレーターから閲覧できないように処理するマスキング機能も求められた。その結果、新しく導入するコブラウズソリューションに選ばれたのが Withdesk Browse だった。

お客さまへのご案内時は安心して画面共有いただけるように配慮し、マスキングも説明

5月中旬から始まるお中元シーズンを見据え、2021年3月から Withdesk Browse の導入が始まった。EC サイト自体に大きな改修は必要なく、タグを埋め込むだけの作業だったことでスムーズに導入できた点が高評価だったという。画面共有を開始するボタンは、ヘッドセットのアイコンを利用している。

「画面共有を開始するボタンはご年配の方にも分かりやすく、見やすいアイコンのほうがよいと判断しました。実際にお客さまへご案内する際には『ヘッドセットのアイコンを押してください』とお伝えし、問題なく通じています。

また、ヘッドセットのアイコンを押すと画面共有を開始するためのモーダルが表示されるのですが、そのモーダル内に『※クレジット番号など重要情報はオペレーターは閲覧できません。』と注意書きを記載しておくことで、安心して画面共有いただけるように工夫しています。また、クレジット番号以外にも、会員 ID やパスワードがマスキングによって隠されるように設定しています」(K. I. 氏)

EC サイト内へ Withdesk Browse の実装が進められた一方、受注センター側への操作説明も同時並行で進められた。二人一組でお客さま側とオペレーター側に分かれてロールプレイングが行われている。

「お客さまに画面共有をご案内する際はいきなりご案内を始めるのではなく、簡単に操作方法と個人情報のマスキングについてご説明してから画面共有をご案内しています。実際にご案内が始まると、お客さまが使用しているデバイスをまず確認し、お客さまがスマートフォンを利用している場合は、スピーカー通話に変更いただくよう案内しています。

スピーカー通話の方法が分からないお客さまには、固定電話から再度お問い合せいただき、スマートフォンの操作をご案内する流れです」(K. I. 氏)

受注センターの業務負荷が改善され、繁忙期の問い合わせ対応も乗り切れた

2021年の Withdesk Browse 導入以降、大きなオペレーションの変更はなく、日々お客さまへのご案内に活用いただいている。受注センターへの問い合わせのうち、1割ほどに対して Withdesk Browse による画面共有サポートを行っている。Withdesk Browse の導入によって、どのような成果が得られているのだろうか。

「Withdesk Browse をご案内するケースのうち、半数以上のお客さまがスマートフォンを使用されています。

また、お中元やお歳暮といったご年配の方からの購入が増える時期は、特に問い合わせ数が増える傾向ですが、Withdesk Browse を導入していることで、ひっきりなしの問い合わせに、少人数での体制でも対処することができています」(K. I. 氏)

Withdesk Browse の導入については、社内からも一定の評価を得ることができているという。受注センターでのお客さま対応の業務負荷は大きな課題であると認識されており、今回の Withdesk Browse の導入によって業務負荷が改善されたことに関して、評価の声を聞いているとのことだ。

「初めて Withdesk Browse を操作したとき、『どういう仕組みで、どのようにお客さま側の画面が私たちにスムーズに共有されるのか』と不思議でした。以前より多くの企業が画面共有サービスを開発、運営するなかでも、Withdesk Browse は特に便利なサービスなので、今後も活用し続けたいと思います」(K. I. 氏)

Withdesk Browse の活用で、EC サイト上でも店舗と同じく丁寧なお客さま対応を

K. I. 氏に、EC サイトの運営とお客さま対応の今後について、その展望を伺った。

「今後の東急百貨店の EC サイトにおいて重要なことは2つあります。まずひとつは当社の実店舗の強みであるフードとビューティーの商品展開を、EC サイトでも強化していくことです。もうひとつが、今回の取り組みにもつながるリアルとデジタルをつなげる、いわゆる OMO の施策です。ネットで買って店舗で受け取るという利便性を高めたショッピング体験をはじめ、『欲しい商品がストレスなく買えた』とお客さまに体験していただくことは、私たちの EC サイトに再訪していただく上でとても大事な要素だと考えています。Withdesk Browse を活用することで EC サイト上でも店舗と同じように丁寧なお客さま対応を実現できればと思います。

非常に導入しやすいサービスであることが魅力のサービスですね。導入決定後もしっかり活用できるようにカスタマーサクセスの方が伴走してくださるので、IT 活用の経験があまりない方でも安心だと思います」(K. I. 氏)

※掲載内容は取材当時のものです。

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