会員登録や注文手続きの操作に関する問い合わせが激減!東急百貨店の満足度の高いネットショッピング体験の提供とは

東急グループのリテール事業の中核として、東急線沿線を中心に百貨店やショッピングセンター、専門店を展開する株式会社東急百貨店。店舗運営だけでなく、デジタル事業やアウトセールス事業など幅広い事業強化を図る同社では、自社の EC サイトとして「東急百貨店ネットショッピング」を運営している。

2009年に大幅なリニューアルが実施されて以降、特にご年配のお客さまからのギフト需要に応えてきた同社の EC サイトでは、商品の注文を完了するまでの手続きが複雑であることに課題を抱えていた。この課題を解決するために導入されたのが、チュートリアルソリューション Withdesk Automate だった。Withdesk Automate を導入した背景にあった課題や導入までのプロセス、そして導入後の効果について、事業推進室 EC 推進部で部長を務める K. I. 氏にお話を伺った。

EC サイトからの離脱を防ぎ、お客さまの満足度向上に取り組む東急百貨店

EC 市場の黎明期である2000年代でも特に早い段階で EC サイトを立ち上げた東急百貨店では、2009年に大幅リニューアルした「東急百貨店ネットショッピング」を運営している。EC サイトでの売上げは、お中元やお歳暮をはじめとするギフト需要が大半を占めていること、渋谷を拠点に展開している実店舗と同様に「フード」「ビューティー」の2つのジャンルにおける商品展開に力を入れていることが特徴だ。同社の EC サイトの運営方針について、事業推進室 EC 推進部で部長を務める K. I. 氏にお話を伺った。

「私たち EC 推進部では、サイト上に表示するバナーの制作も外注することがほぼなく、企画から制作までほとんどを内製して EC サイトを運営しています。EC サイトに訪れるお客さまが企画や商品に魅力を感じていただけるよう、日々さまざまな工夫をしています。

コブラウズソリューション『Withdesk Browse』を導入した理由と同じく、EC サイトのメイン顧客層であるご年配のお客さまが迷わず、ネットショッピングを楽しくご利用いただけるよう、EC 推進部が一丸となって取り組んでいます」(K. I. 氏)

EC 推進部で特に改善に取り組んでいる要素のひとつが、EC サイトからの離脱を防ぐことだ。EC サイト上の操作に分からないことがあり、結局自己解決できずにネットショッピングそのものを諦めてしまうお客さまを減らすことは、お客さまのネットショッピングに対する満足度を向上させるだけでなく、EC 事業における売上の向上にとっても重要な要素とのことだ。

「掛け紙」、「名入れ」など、細かいギフトの要望に応えた結果、注文手続きが複雑化していた

今回の取り組みでチュートリアルソリューションである Withdesk Automate を導入した EC サイトのページは、新規会員登録の手続きと商品の注文手続きだ。特に注文手続きページはお客さまが操作につまずきやすく、離脱しがちだったという。こうした課題の背景として「手続き内の分岐の多さ」が原因だったと K. I. 氏は話す。

「『東急百貨店ネットショッピング』はギフト購入でご利用いただくお客さまがとても多いことがひとつの特徴ですが、ギフト購入は一般的な EC サイトよりも複雑な注文手続きが必要になるのです。

特にお客さまが操作につまずき、離脱してしまう箇所が『ご自宅に届ける』、『(ご進物用として)ご自宅に届ける』、『(ギフトをお渡しする)お届け先を指定に届ける』といった、配送先選択の画面です。ご自身用のお買い物でしたら自宅に商品をそのまま届けるだけで完了できるのですが、直接ギフトを相手方へお届けしたいというご要望については、『掛け紙』や『名入れ』、梱包の仕様の選択、そして配送先の住所の入力などが必要になります。

こうした複数の選択と、それに伴う注文手続きページの分岐によって、注文完了までたどり着けないお客さまが一定数発生していたのです」(K. I. 氏)

こうした注文手続きページにおける課題は、お客さまから問い合わせを受け付ける受注センターのオペレーターからもたびたび意見が挙がってきていたそうだ。受注センターでは注文手続きに関する問い合わせだけでなく、商品の配送状況の確認や領収書の手配などさまざまなお困りごとを受け付けている。

そのため、全体の問い合わせ数を少しでも減らすことは、受注センターのオペレーターの負担を減らし、より手厚いサポートを必要とするお客さまの対応にリソースを割いていく上で重要だった。

インハウスで EC サイトを運営。導入の決め手はチュートリアルの設定のしやすさ

同社では2020年にコブラウズソリューション Withdesk Browse を導入し、活用しているなかで、今回 Withdesk Automate を追加導入した。導入検討する上で重視していたポイントについて、引き続き K. I. 氏にお伺いした。

「弊社ではシステム部分に大きく手を加える場合を除き、ほぼ社内のリソースだけで EC サイトを運営しています。Withdesk Browse を利用する際に EC サイトに設置した同じタグで運用できるため、すぐに利用を開始できる点が高評価でした。また、弊社の EC サイトはかなり複雑な分岐に対応する必要があると感じていたのですが、ウィズデスクの担当者にサポートいただきながら実装を進められるとご案内いただき安心でした。

普段からお客さまのお困りごとに最も接している受注センターのオペレーターからも『このツールであればお客さまも迷うことなく操作できるのではないか』との意見をもらい、最終的に関係者全員一致で賛同を得ることができ、Withdesk Automate の導入を決定しました。

また、今回の取り組みは現場の業務負荷の軽減を推し進める会社全体の方針にも合致しており、社内承認をスムーズに通すことができました」(K. I. 氏)

新規会員登録と注文手続きページにチュートリアルを実装。設定時の工夫とは

2024年1月に Withdesk Automate の導入を決定し、約2か月後にはチュートリアルを活用したお客さまへのご案内が始まった。対象は新規会員登録の手続きと注文手続きの2箇所で、情報システム部の担当者と K. I. 氏が主導し、ウィズデスクからはチュートリアル用の文言作成や条件分岐の設定面で支援をし、チュートリアルが実装された。

まずチュートリアルが実装されたのが、新規会員登録の手続きだった。複雑な条件分岐がなく、ページ数も少ないことからすぐにチュートリアルを本稼働することができたという。

「入力が必要な箇所以外をグレーアウトし、入力しなければならない箇所が一つひとつ示されるよう工夫しました。チュートリアルに表示されるテキストのほとんどが、これまで入力箇所の下部に注意書きとして記載していた内容と同じです。たとえば入力時の大文字小文字、記号の指定などの注意点ですが、下部に小さい文字で書かれた文言よりも吹き出しで大きく表示された方がお客さまの目に入りやすく、入力ミスを防ぐことができると考えています」(K. I. 氏)

注文手続きの条件分岐では、冒頭から配送先として3つの選択肢が表示され、それ以降も『掛け紙』や『名入れ』の要否、梱包の仕様、配送先の住所をアドレス帳から選ぶか直接入力するかどうかなどの条件でさらに枝分かれしていく。また、購入する商品によっては決済が別々になることもあるため、画面を複数回遷移しても迷わないような工夫もされた。

「ウィズデスクの担当者にご提案いただいた設定として印象に残っているのが、チュートリアルが起動するトリガーとなるバナーを設置したことです。商品を選択し、注文手続きページに遷移すると操作画面の下部に『お困りですか?』と書かれたボックスが表示されます。このボックス内の『次へ』をクリックするとチュートリアルによる案内が開始する仕組みです。

このちょっとした工夫によって、ご自身だけで注文を完了できる方はそのまま注文・決済を進めることができ、本当にサポートが必要な方にはチュートリアルを表示することができるようになりました」(K. I. 氏)

若年層、中高年層からの問い合わせ数が激減!コブラウズと組み合わせて全年齢層をカバー

「お客さまが新規会員登録や注文手続きに迷うことなく目的を達成すること。それによって受注センターのオペレーターの負担を減らすこと」を目指してスタートした Withdesk Automate によるチュートリアルの導入。チュートリアルを実装してから6か月が経った現在の状況と実感する成果について振り返っていただいた。

「一番大きな変化として受注センターから報告があったのは、若年層や中高年層といったお客さまからの EC サイトの操作方法に関する問い合わせ件数が激減したことです。PC やスマートフォン操作に比較的慣れているお客さまのセルフオンボーディングに大きく貢献できていると言ってよいと思います。

一方でご年配のお客さまについては、ウェブ操作に関するお問い合わせがあった際、Withdesk Browse による画面共有サポートをご案内するようにしています。チュートリアルとコブラウズを上手く組み合わせることで、ほとんどの年代のお客さまをカバーしてご案内することが可能になりました」(K. I. 氏)

その他の成果として、チュートリアルを EC サイトに組み込む過程でお客さまが操作につまずきやすい箇所の洗い出しが挙げられた。将来的に EC サイトを改修する際の参考にすることも検討しているとのことだ。

「欲しい商品がストレスなく買えた」という体験を積み重ね、売上とイメージの向上へ

今回の取り組みで導入した Withdesk Automate を EC 推進部内でさらに活用し、さらに使い勝手のよい EC サイトを実現し、より満足度の高いネットショッピング体験を提供していきたいと、今後の展望について K. I. 氏にお話しいただいた。

「チュートリアルご案内時の細かな文言を変更したり、条件分岐を追加、変更したりといった対応は、ノーコードで使える専用の管理画面があるので、私たちだけでも問題なく対応できます。ひとつ例を挙げると、お歳暮ならではの特殊な注文手続きにも対応したチュートリアルを作成、追加する予定です。

導入時期からとても親身になってサポートいただいたウィズデスクの担当者にも引き続き相談しながら、Withdesk Automate の活用に今後もチャレンジしていきます」(K. I. 氏)

取材の最後に、今回の取り組みを振り返って感じた「チュートリアルを導入するメリット」について伺った。

「『欲しい商品がストレスなく買えた』とお客さまに体験していただくことは、私たちの EC サイトに再訪していただく上でとても大事な要素だと考えています。これは実店舗でもネットショッピングでも同じことです。

再訪してくださるお客さまが少しずつ増えていけば、ネットショッピングの売上向上につながっていくだけでなく、『東急百貨店』というブランドのイメージ向上にも貢献できるのではないでしょうか。長期的な視点で考え、今後もよりよいネットショッピング体験の提供に取り組んでいきます」(K. I. 氏)

※掲載内容は取材当時のものです。

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