顧客対応時間を半分以下に短縮し、お客さまサービスの質を向上! メディケア生命保険が取り組んだ DX 推進プロジェクトとは
新宿駅に旗艦店を構え、より多くのお客さまから支持される百貨店を目指し、さまざまな挑戦を続ける株式会社京王百貨店(以下、京王百貨店)。同社が運営する EC サイト「京王ネットショッピング」では、お中元やお歳暮といった季節のギフトをはじめ、コスメや食料品などを中心に販売している。コロナ禍による巣ごもり需要を背景に、お客さまからの問い合わせが急増し、カスタマーサポート業務の効率化を図るために、コブラウズソリューション「Withdesk Browse(ウィズデスク ブラウズ)」を導入した。
Withdesk Browse を導入した背景にあった課題や導入プロセス、そして導入後の効果について、事業開発室 EC カスタマーサポート担当の課長である H. I. 氏、係長の T. O. 氏、同じく係長の K. K. 氏にお話を伺った。
2001年の年末、お歳暮の時期に開設された京王百貨店の「京王ネットショッピング」。20年前より運営されてきた同社の EC サイトの特徴は、実店舗のお客さまが利用するシーンが多いことだと H. I. 氏は話す。
「京王百貨店を支持してくださっているお客さま層として、ご年配の方(60〜80代)の割合が高くなっています。EC サイトも同じ傾向にありまして、時期にもよりますが、約半数前後のご利用がご年配のお客さまによるものです。
京王百貨店で利用可能なポイントが溜まる『京王パスポートカード』をお持ちのお客さまのご利用が多いことから、店舗に来店されていたお客さまが EC サイトに流入していると考えています。
実際、ここ数年ではコロナ禍で店舗へ足を運べなくなってしまったお客さまが初めて『京王ネットショッピング』で商品をご購入されるというケースが増えました。
店舗と同じように、EC サイト上でもお買い物を楽しんでいただけるように『感謝の気持ち』をもってお客さま対応に向き合っています」(H. I. 氏)
京王百貨店が大事にするお客さまへの姿勢は、EC サイトのデザインにも表れている。ご年配のお客さまには、PC やスマートフォンの操作に不慣れな方も多いため、親切、かつ分かりやすい操作画面であるように努めているという。
同社の EC カスタマーサポート担当は「京王ネットショッピング」で買い物をされるお客さまをサポートするために新設された部署だ。普段のお問い合わせには「ID、パスワードが分からない」「どこをクリックすればよいか、分からない」という操作面の相談や「贈答用にどのような商品を買えばよいか」といった接客に近い相談もあるという。なかでも繁忙期であるお中元・お歳暮の時期に問い合わせ数が増加すると話すのは、お中元・お歳暮の時期に現場を指揮する T. O. 氏だ。
「お問い合わせが急増する繁忙期はお中元・お歳暮の時期になります。ご利用者数がただ増えるだけでなく、半年、1年ぶりに利用されるお客さまが多いため、操作方法や ID・パスワードを忘れてしまったというご相談が急増するのです。
操作案内の対応には、短くて30分、場合によっては3時間かかりっきりになることもあります」(T. O. 氏)
お客さまの傾向としては、PC 利用の割合が高いという。贈答用として購入されるお中元・お歳暮の場合、複数の宛先や住所を記入する必要があるだけでなく、どのような包装やのしにするのか選択する必要があるためだ。
以前からお中元・お歳暮の時期は忙しかったが、コロナ禍によって巣ごもり需要が高まり、例年の2倍近くまで注文数が増えたことで、カスタマーサポートの業務効率化が急務になったという。H. I. 氏が当時の課題を振り返った。
「2020年のお中元シーズンは、これまでの3倍近くものお問い合わせが発生しました。『最初から操作方法がまったく分からない』という EC サイトでのお買い物自体が初めてのお客さまからお問い合わせが急増し、その結果、EC の電話対応窓口の稼働率が上がり、1件1件の対応時間が長くなりました。2020年のお中元は何とか乗り切ったのですが、次回のお歳暮までには効率化しなければと考えたのです」(H. I. 氏)
当初は、他社の百貨店ですでに活用されていた画面共有ツールの導入を検討しており、契約直前まで進んでいたという。最後まで導入を悩んでいた理由は、画面共有時にお客さまがソフトウェアをダウンロードする必要があったことだ。
「初めてネットショッピングを利用されるお客さまにとって、いきなりソフトウェアのダウンロードをお願いするのはハードルが高すぎると感じました。また、当初の計画にはないシステムの導入だったため、なるべく低コストで開発の手間をかけずにお歳暮までに素早く導入できることも必要条件でした。
この2点を軸に再度ツールの比較検討を進める中で出会った Withdesk Browse は、画面共有時に、お客さま側でソフトウェアをダウンロードしていただく必要がなく、自社の作業は画面共有対象ページにタグを埋め込むだけで設定が完了する点が魅力でしたね。
比較検討を進めるなかで、さらに気に入ったのが入力項目のマスキング機能と遠隔操作が可能である点です。お中元・お歳暮は、包装方法の指定や複数の配送先住所など、入力項目が多数存在します。また『京王パスポートカード』や優待券をお持ちのお客さまには、それらの情報まで入力していただく必要もあります。そのため、お客さまの個人情報はマスキングしつつ、お電話で伺った内容を代理で入力できることはとても高評価でした。
社内でもコロナ禍を受けて EC サイトの強化を進めていたこともさらなる追い風となり、 Withdesk Browse の導入を決定しました」(H. I. 氏)
契約から2か月未満で Withdesk Browse の導入は完了した。すでにタグマネージャーを設定していたこともあり、タグの設置は現場のご担当者だけでスムーズに完了することができたという。ウェブサイト実装時のこだわりについて、H. I. 氏に伺った。
「標準仕様の場合、画面共有サポートをご案内する Withdesk のボタンは、オペレーターをイメージさせるヘッドセットのアイコンになっています。これも十分に分かりやすいと思うのですが、お客さまに「ヘッドセット」という言葉が伝わりにくい心配があったので、より分かりやすくできないかと考えました。
そこで「京王ネットショッピング」をご利用されているお客さまの多くが、実店舗で商品をご購入されたことがあることに着目し、包装紙にも使用されている京王百貨店のマスコットバードである “ハト” のイラストを採用しました。お客さまに画面共有サポートをご案内する際は『サイトの左下に飛んでいる鳩をクリックしてください』とお伝えしています」(H. I. 氏)
直近で増員された新人オペレーターに向けた操作方法の共有と教育もスムーズに進んだ。新人向けに作成したマニュアルは A4 サイズのもの1枚のみであり、一度読めば分かるような内容になっているという。現場で新人教育を担当している T. O. 氏は以下のように語る。
「以前は、新人オペレーターがお客さまに対して EC サイトの操作案内ができるようになるまで、2か月ほどかかっていました。その理由として、EC サイトの画面や構成、どこをクリックするとどのページに遷移するかまで理解する必要があったからです。しかも、EC サイトは定期的にアップデートされるため、そのたびに覚え直す必要もあります。
しかし Withdesk Browse を導入後、およそ15分のロールプレイングで、お客さまに操作のご案内ができるまで育成できるようになりました。実際、一度ロールプレイングをした直後にお問い合わせを承ったお客さまのご相談から、Withdesk Browse を活用することができたケースもあります」(T. O. 氏)
育休期間から復帰された K. K. 氏も、すぐにWithdesk Browse を活用できた1人だ。
「現場に復帰してすぐ、画面共有が必要な相談のお問い合わせがありました。まだ一度もレクチャーを受けてはいなかったのですが、マニュアルを一読しただけで Withdesk Browse の操作を理解できました。ログイン後の管理画面がとてもシンプルで分かりやすかったので、お客さまのお悩みを問題なく解決することができたことを覚えています」(K. K. 氏)
Withdesk Browse 導入の成果として、H. I. 氏は「お客さま満足度の向上」を第一に挙げた。取り組み全体を振り返り、同社の EC カスタマーサポートにはどのような変化があったのだろうか。
「お客さまにとっては、お問い合わせのストレスが大幅に軽減され、満足度の向上につながったと考えています。以前のような電話だけのサポートでは、お客さま自身がどこの操作で困っているのかをオペレーターに伝えるだけでも一苦労です。しかし、画面を共有することでお客さまがどのページにいて、どこの操作で困っているのかを視覚的に共有できるようになり、時間と手間、そしてストレスが大きく軽減したと思っています。
『次のお中元でも、またお願いしますね』とお客さまに仰っていただいたことが印象に残っています」(K. K. 氏)
「実際に現場で対応をしていると、以前に画面共有を経験されたお客さまから『遠隔操作で対応してほしい』とご要望をいただくことがあります。6桁の数字(セッションコード)を入力して接続したことが印象に残っていらっしゃるようで『6桁の数字のやつでお願いします』とご用命いただくことも。リピーターのお客さまからも便利なツールであると認識されていると感じています」(T. O. 氏)
また、お客さまから高評価をいただくことが多い要素として、個人情報部分のマスキング機能が挙げられた。クレジットカード情報やパスワードの入力をお願いする際に「こちらから該当の項目は閲覧できないシステムです」と必ず伝えるようにすることで、お客さまにより安心していただけるという。
また、オペレーター側にとっても、お客さま情報がマスキングされたまま、どの項目が入力中であるかが分かることが高評価であるとのことだ。
新型コロナウイルスの感染拡大で、長期間の休業を余儀なくされた百貨店業界。巣ごもり需要をきっかけにネットショッピングがますます一般的になったことを受け、京王百貨店でも今まで以上に「京王ネットショッピング」のサービス拡大に注力していくと、H. I. 氏は話す。
「この数年で『京王ネットショッピング』の会員数が急増したことを受けて、EC サイトの役割をより一層拡張していきたいと考えています。例えば、決済は EC サイト上で行い、商品の受け取りは実店舗で行うという取り組みも、催事やイベントでスタートしました。
こうした施策を進めていくにあたっては『人のよろこびを大切に』という私たちの企業理念を忘れず、EC サイトに慣れていないお客さまもしっかりサポートしていきます。
そのためにも、Withdesk Browse は今後も活用していきたいですね。今となっては、EC カスタマーサポート担当になくてはならないツールだと思います」(H. I. 氏)
※掲載内容は取材当時のものです。
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