コールセンターの放棄呼率とは?計算方法と上昇する原因について解説

本記事ではコールセンターにおける重要課題のひとつである放棄呼率について、計算方法や原因などをお話ししたうえで改善方法を解説します。

放棄呼とは

放棄呼とは、コールセンターでオペレーターが対応する前に切断されたコールのことです。顧客が自ら切断しているケースと、コールの集中などが原因でシステム側に問題が起こって切断されたケースがあります。放棄呼はコールセンターにおいて KPI のひとつとされており、改善しなければならない課題です。放棄呼率はコール数に対し、放棄呼がどの程度あるのかの割合を指します。

応答率との違い

放棄呼率の対義語といえるのが、1日のコール数に対して応答できた割合である応答率です。応答率が高いほど、顧客満足度の向上につながりやすいと考えてもよいでしょう。

放棄呼と似ているあふれ呼

放棄呼と間違えやすい言葉にあふれ呼があります。こちらは放棄呼に至る前段階で、コールが集中しているときなどに応対が追いつかず、顧客が待たされている状態です。あふれ呼が続いた結果、放棄呼につながってしまいます。

放棄呼率の計算方法

放棄呼率の計算方法は、以下の通りです。

放棄呼率(%)= 放棄呼数 ÷ コール数 × 100

たとえば、1日の放棄呼数が60件、コール数が1,000件だった場合、60÷1000×100という計算式になり、放棄呼率は6%です。

放棄呼率の目安

コールセンターでの平均放棄呼率は約8.6%といわれています。前述した例は放棄呼率が6%であるため、平均と比較すると低いです。しかし、コールセンターにおいて放棄率は0%あるいはそれに近い数値になるのが理想であり、対策を練る必要があるでしょう。

放棄呼率が高くなる原因

放棄呼率が高くなる原因を知らなければ、解決につなげられません。コールセンターによってさまざまな原因がありますが、こちらでは主な原因3つについてお話しします。

オペレーター数の不足

多くの顧客を抱える企業であるほど、コールセンターに問い合わせされる可能性が高くなります。そのため、コールが集中したときに備えて十分なオペレーター数を確保していなければなりません。通常は十分足りている人数だとしても、イベントなどがあった際には通常より多い問い合わせがあることを想定し、オペレーター数を増加できる体制を整えておく必要があります。

業務効率の問題

問い合わせ内容、クレームなどによって1人の顧客に対応する時間が長くなりすぎているケースがあります。これによって次のコールに対応するのが遅くなり、放棄呼につながった結果、顧客の不満が蓄積されて長いクレームになるという悪循環です。この場合は、業務効率を上げる対策が必要になるでしょう。

説明書などの内容が不十分

問い合わせの多くは、顧客が説明書などを見て自己解決できなかったことが原因です。説明書などの内容が十分であれば、顧客が自己解決できるので問い合わせ件数も減少します。

放棄呼率の改善方法

放棄呼率を放置するとコールセンターへの不満が蓄積されるだけではなく、その企業に対する信頼も低下してしまいます。SNS が普及している現状では、そういった不満の声が短期間で拡散される可能性は十分あるでしょう。そのため、放棄呼率の放置は厳禁、改善に向けた対策を一刻も早く行わなければなりません。放棄呼率の改善方法としては、次のものが挙げられます。

コールセンターのオペレーターへの研修を行う

放棄呼率を減らすためにできることとして、コールセンターで対応しているオペレーターのスキルアップが必須といえます。顧客1人にかける通話時間や対応時間の短縮とともに、電話口での話し方の定期的な研修も必要です。時間に追われていると、顧客への話し方に出てしまう可能性があります。顧客側が不快に感じない程度にゆっくりと、わかりやすく説明するといった対応力の品質アップも重要です。

自己解決を促す

顧客の自己解決率を向上するために、自社サイトの FAQ(よくある質問)の内容を充実させることが重要といえます。説明書を見てもわからなかった点は FAQ を見れば解決できるように、見やすさ・わかりやすさを重視しましょう。文字のみを長々と書いてあると、途中で読むのが面倒になってしまう傾向があります。できるだけ短い文章でわかりやすく説明したり、場合によってはイラストや文字にカラーを入れたりするのもひとつの方法です。コールセンターにかかってくる問い合わせのなかでも特に多い内容は、漏れないように記載しておくとより良いでしょう。

また、チュートリアルサービスも導入が増加傾向にあります。チュートリアルサービスはウェブサイト上でガイドされる内容に沿って操作することで、ウェブ上の操作に慣れていない顧客も操作方法を習得できるものです。簡易的操作(パスワードの再発行など)を顧客自身で解決できるように対策しておくことで、放棄呼率の減少につなげられます。複雑な手続きでも操作内容に応じた条件分岐に対応していれば、スムーズに完了することが可能です。

AI による自動案内を導入する

問い合わせ内容次第では、AIによる案内で解決するケースがあります。たとえば、問い合わせ数が多い内容であれば、オペレーターにつながずに自動音声案内で解決できることが少なくありません。電話による自動案内以外にも、自社サイトにチャットボットを設置しておく方法もあります。

カスタマーサービスプラットフォームを活用する

コールセンターでの放棄呼率を減少するために、コブラウズを活用するのもひとつの方法です。必要に応じてお客さまの画面をリアルタイムに共有しながら、遠隔操作も含めたサポートを行うことで、顧客対応時間を短縮できます。また、よりスピーディに問題解決できるようにサポートするので顧客自身にかかる負担も軽減され、結果的に顧客満足度の向上も期待できます。

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