エフォートレス体験とは?重要性や実現するための方法を解説
コールセンターの命綱ともいえるのが、呼量予測です。この記事では、コール予測の計算、入電予測の精度を高める方法について解説します。
コールセンターの呼量予測とは、過去のデータを使用して入電のパターンを見つけ、今後の入電数を予測することです。
コールセンター業界では、リモートワークが定着しつつあり、適切な人員配置とスケジューリングがこれまで以上に難しくなっています。さまざまな場所にいるエージェントを把握するのは容易なことではなく、ましてや適切な人数のスタッフが適切な時間に働けるようスケジュールすることは不可能に近いかもしれません。そこで重要になるなのが、呼量予測です。どの曜日や時間帯が忙しくなりそうかが分かれば、それに応じたスタッフの配置が可能になります。
正確なコール予測ができれば、さまざまなメリットが期待できます。無駄のない人員配置による人件費の削減はもちろん、より多くの問い合わせに対応できるようになり、顧客満足度の向上が見込めるでしょう。また、職場環境が改善されれば、個々のオペレーターの負担が軽減され、従業員の定着率やモチベーションの向上につながります。
コールセンターの呼量の計算方法において、アーランの計算式が一般的によく知られています。デンマークの数学者アグナー・アーランは、待ち行列理論を開拓し、電話網解析と交換機の人員配置という学問を発明した人物です。1920年代のアーランの先駆的な研究は、ベル電話会社、英国郵便局、その他多くの通信事業者に採用されました。電話回線数を推定する場合、呼量(こりょう)という言葉が使われます。呼(こ)とは、電話がつながってから切れるまでの1回の通話を指し、呼量とは、その通話の総使用時間を単位時間で割ったものです。
呼量=(呼数×平均利用時間)÷対象時間
呼量は上記の計算式で導き出すことができ、このときにアーランという単位が用いられます。たとえば、1時間(3600秒)に平均10回の通話があり、その平均利用時間が4分(240秒)の場合、240×10=2400となり、呼量は2400÷3600=0.6666で、0.6666アーランとなります。
また、呼損率とは回線の空きがないためにつながらない通話の割合を数値化したものです。具体的には、10回電話をかけたとき3回つながらない場合は0.3の呼損率、100回電話をかけたとき3回つながらない場合は0.03の呼損率というように表されます。
コールセンターの予測方法は常に進化していますが、ここでは、一般的な呼量予測の方法をいくつかご紹介します。
コールセンターの入電予測に関しては、過去に遡って収集したデータを分析することができます。過去数年間の数字を比較することで、特に特定の傾向や季節性について、まだ知らなかったことがたくさん見えてくるかもしれません。たとえば、母の日や長期休暇などの特定の祝日には電話が減り、その翌日には急増することがあります。このパターンが毎年毎年続くようであれば、今後も続く可能性が高いと判断してよいでしょう。
長期的な入電予測はその実態を見抜いてくれるものですが、短期的な予測もまた、見通しに役立つものです。たとえば、コールセンターが自社サービスのリピート割引を提供していて、それが1年を通して異なる時期に適用されるとします。短期予測では、その時期のコールボリュームを確認することができるので、次回割引が適用された時に適切なスタッフを配置することができます。さらに、自社がまだスタートしたばかりであれば、短期予測は唯一の選択肢となるかもしれません。
ホルト・ウィンタース手法として知られる三重指数平滑法は、1960年代から使用されており、労働力管理システム内の予測ツールに広く適用されています。この方法では、コールセンターのデータをレベル、トレンド、季節性の3つのカテゴリーに分類します。次に、このデータを各データ期間(月次、日次、または1時間単位)において平滑化(平均化)します。簡単な例として、過去3か月間のデータを見る場合を考えてみましょう。直近の月を1/2、その前の月を1/4、最後の月を1/8と重み付けすることができます。これは、過去のデータを考慮しつつ、時間の経過による変化も読み取ることが可能です。自然災害や停電のようなランダムな事象は、短期的な予測ではデータを歪める可能性があるため、三重指数平滑化は長期的な予測に最も適しています。
ニューラル・ネットワークは20年以上の歴史がありますが、Google が音声認識などの人工知能プロジェクトで使い始めてから、最近人気が急上昇している手法です。人工知能(AI)には人間の脳神経細胞を模倣したニューラル・ネットワークがあり、それを使ってコールセンターの入電を予測することができるのです。このモデルは、一連のデータ入力を分析するノードから構築され、出力との一致を目指します。まだペンと紙で予測を行っているコールセンターも存在しますが、この方法を応用することで、時間を節約しながら、さまざまな要因に基づいた複数のモデルを作成することができるでしょう。
ARIMAとは、autoregressive integrated moving average の頭文字をとったものです。過去のデータを使って統計データから現在の傾向を明らかにし、今後の予測を行います。比較的新しく複雑な呼量予測の方法ですが、過去10年間でますます人気が高まっています。この方法には、3つのカテゴリーがあります。
・自己回帰:データを過去のパターンと比較する
・統合:現在と過去の観測結果を比較する
・移動平均:過去から数期間にわたるデータを平滑化する
正確な呼量予測は簡単なものではありませんが、上記のようなさまざまな方法があります。コールセンターの管理者は、特定のビジネスニーズに応じて、2つ、3つ、あるいは4つの予測モデルを同時に使用することがよくあるので、最初から1つだけを使用することにこだわらないほうが賢明といえます。
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